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コーティングMEMSコラム

スプレーコーターを選定する3つの条件

2019.06.10 [技術紹介]

  当社で注力しているスプレーコーターの選定ポイントとして多種多様なお客様とのデモ対応を通じて得た3つの条件を紹介します。


スプレーコーターを選定する条件その1:ばらつきを小さくして再現性よく薄い膜を塗布できるか?

 スプレーコーターは、走査スピードが速い方がより薄い膜を塗布できます。走査スピードを早くするためには、ノズルヘッドを高速に動かすガイドに機械的な強度や装置筐体の剛性が必要です。さらにスプレーコーター(塗布装置)の重心が低くないと振動が小さくなりません。
 走査スピードが速い方が材料の塗布量を少なくできるので膜厚の均一性、生産効率の向上を図れます。

一方、塗布時の霧化圧力(液状の材料を霧状の微粒子にする圧力)が不足するとスプレーする塗布材料の液圧(液状の材料をノズル部に送り出す圧力)の損失も大きいため、被覆膜の厚みばらつきを小さくすることが困難になります。
 そのため、霧化圧力を大きくし、液圧の損失を小さくすることで膜厚のばらつきを小さくすることが重要となります。塗布材料の入ったシリンジポンプがノズル直近に組み込まれているか、離れているかも重要です。離れていることで液圧の損失が発生し、損失が大きくなると材料の吐出量が安定せず、被覆膜の膜厚のばらつききが大きくなります。
 再現性をよくするためには、厚みばらつきを小さくすることが必要です。再現性に影響を与える要因は霧化圧力の安定であり、液圧の損失を小さくすることです。


 
スプレーコーターを選定する条件その2:スプレーする塗布材料の粒径を幅広くコントロールできるか?


 スプレーする塗布材料の粒径をコントロールするのは霧化圧力です。圧力が大きい程、粒径を幅広くコントロールできます。
例えば、塗布材料に1μm(ミクロン)オーダーの粒子径であるフィラーを混合させてディスプレイに凹凸をつけて塗布する防眩(ぼうげん:眩しさを防止する)膜を形成する場合、比較的高い霧化圧力の調整により、微細な凹凸の防眩膜を実現することが可能になります。



スプレーコーターを選定する条件その3:スプレーする塗布材料に適した塗布に対応できるか?


 上記のようなパラメータを調整することが第一に重要ですが、霧化ノズルの形状や寸法を調整することも重要となります。例えば、出口の形状を楕円にしてスプレー放射角を調整したり、塗布液の粘度に応じた出口形状と寸法を調整したりします。



まとめ
スプレーコーターを選定する3つの条件は相互に関係しています。厚み、ばらつき、再現性、粒径を制御する機械構造、吐出圧、霧化ノズル形状等のパラメータをアプリケーションに応じて細かく対応できるか、多面的に検討することが重要です。

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